夜道で会った人と話をするべからず

 

一条美由紀

 
 


死んだらいいのに
言っちゃいけないことだから
思っちゃいけないことだから
バチが当たったらいやだし
でもこう思うこともある
死んだらいいのに
ナイフを持って
深夜を一人歩いて
泣くための悲しい話を探して
死んだらいいのに
他人を自分を
目に見える全てを憎んで
死んだらいいのに

 


遠い地で不思議な大地を撮り続け、
長い旅から帰ると、
故郷の空気は美しく私を出迎えた
見えてないだけだった
謎が生まれたところに答えも同時に存在するのだった

 


1本の電線は会えない母の存在の証
電話での会話は時々意味が通じない
遠くにいる後ろめたさが背中を覆う
まだ大丈夫 まだ大丈夫
でもいつか大丈夫じゃなくなる
背中を映すことのない今日が
明日に変わるのが怖い

 

 

 

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