叫び

 

みわ はるか

 
 

19時からの天気予報。
この冬一番の寒気が流れ込むでしょうと伝えている。
ん、その言葉数週間前にも聞いたような。
また雪か、ふぅ~と大きなため息がどうしても出てしまう。
雪は苦手だ。
きれいでワクワクするなんて言う人もいるけれど、わたしはどうしてもその気持ちを理解することができない。
道は凍る、滑る、事故が増える、厚着での外出を余儀なくされる、車の雪かきのために早目に起きなければならない、重い灯油を定期的に購入しなければならない、家の中はジメジメする、空は暗い、そして心はもっと暗い。
この土地に来る前は、住めば都かなと思ったりしたが、わたしにはそうはならなかった。
ここを出られることに、心の奥でほっとしている。
街は小京都のようで美しいけれど、それ以上にわたしには耐えがたい環境だった。
待ち望んだ春、短い夏、忘れられた秋、長すぎる冬。

夏が好きだ。
暑中お見舞いにデザインされている風鈴、金魚、浴衣、朝顔、センス、虫取り網を眺めていると心が躍る。
だから、玄関には年中夏の装飾品を置いている。
我が室内に四季はない。
うだるような太陽の下を歩いてたどり着いた喫茶店。
カランカランと押したドアの先はひんやりした空間が広がっている。
そこで飲むメロンソーダの美味しいこと。
サクランボは先に食べてしまう。
髪を上手に結ってアップにする。
首筋を1滴の汗が滴り落ちる。
花火が描かれた淡い青い浴衣の若者たち。
暑い暑いと言いながらも楽しそうに会話しながら歩いている。
「氷」と書かれた店の前で立ち止まる。
何のシロップにしようか真剣に悩んでいる。
ブルーハワイが人気のようだ。
薄着で、ぴょーんと外に出られる。
紫外線は気になるけれど、靴下を身に着けずサンダルでスタスタ歩くのは最高だ。
冷房がまだなかった小学生時代。
下敷きで風を作った。
あまりにも乱暴だとプラスチックのそれは無残にも割れた。
教科書をうちわ代わりにするには重すぎた。
すぐに新しい下敷きを買いに走ったっけな。

夏の写真をよく見る。
夏に着たい服をネットで検索してみる。
夏の予定を考えてみる。
あー、とりあえず京都に行きたい。

心のモヤモヤをただただ言葉にしただけの文章になってしまった。
ご愛敬。

 

 

 

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