なみのね

 

小関千恵

 
 

 

海を見つめることも
空を見上げることも
この存在をくりぬいて
鳥じゃないけどわたしだって
そこでやっとひとつになって

ねえねえ、ねえねえねえ ねえねえ …

声が漏れてきて
何かを消そうと出てるやつだって
いつもそうして
何かを消そうとして出てるやつだったって
わたし生まれてない波だけど
わたし生まれて消した波だった
わたし生まれていたのにいないことにして溢れでた波だった
消そうとして叫ぶ!
消そうとして叫ぶ!

はね はね ゆめ
ハネはね 跳ねて うね きえる
空中に
透明に
光に もっと光に

切る 切る 空を切る
起きていたい 眩しくて
伸びていたい 風の中
寒くない
消していたい

次へ行きたい
次へ行きたい

どこにも無い そのまま
このまま 発ってゆく
なみのね 止まらない
じっとしても 動いてる
叫ばなくても 溢れてる
色違う
風変わる
明けてゆく

いつのなみだ
いまのなみだ
波はいつでも立っている
消してみせるさ そんな海
呑まれてみよう あんな波
出会うだけ
命が波をすり抜けて
ごろんと海辺に転がって
心は天の岸を打つ   タイコ!

海のまんまの明日になる
ひとつもおんなじのがない
ぶつかり合う 消えてゆく
産んで産んで 産みまくる
消して消して 消しまくる
あしたまた 揺れてる
揺れ合う
触れ合う

 
ねえ

ねえねえ、ねえねえねえ  …

ねえねえ 
 

 どうして
ひとは

身体中を

「ことば」のなかへ
飛び込ませるの

溢れてるよ

溢れてるよ

 

 

 

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