ただ在るように在りたい

 

一条美由紀

 
 


不安ばかりで不確定な日々は、過ぎた時が答えを見せる
いつも見守ってくれる人がいたのだと
感謝を伝えたいと思う時、なぜいつも遅すぎるのだろう
私もあなたも伝えたいことを秘めたまま消えていくのだ

 


すべてが敵のように思い込む若さが
必要だったと、
今わかる

 


少し小さくなったその顔は蝋人形のように黙っていた
いい歯医者さんを見つけたんだ、あの時言ってたね
待っている私たちの前に息を切らしてやってきたのはそれから半年後
遠くから写真を撮った
なぜもっと記録しておかなかったのか
消えてしまうその前に
記録しておかねばならない
記録は記憶となる
そして記憶も白檀の香りと共にいつか消える

 

 

 

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