一条美由紀
彼女は正義の味方だった
鉄腕アトムは彼女の仮の姿だった
少女の時はなぜ世間は窮屈で偏見に満ちているのかと思っていた
大人になり、いろんなこととうまく距離を持つことを覚え、
母になり悩みながらも子供に多くの愛情が自分から生まれてくることに驚いた
その中でも彼女は正義の味方だった
時に間違いも犯したが、いつも正しいと思うことを目指した
今彼女は少し背中が丸くなり、膝は歩くたびに痛む
アトムだった女は、もう正義の味方ではなく、自分自身の味方となった
生(せい)のあるものだけが知っているフィクション
Yesの意味は無限にあり、どれを選んでも正解である
変形自在な価値観が世界を覆い、
自分の目と感覚の自信が壊れてしまう。
迷い児となり助けを求めても、
流れをやめない喧騒に溶けて行く