死者たちの顔

 

駿河昌樹

 
 

   一度死んだ人が、わたしの身体のなかで何度死んでもいい。
   土方巽

 

まぢかに見た死者たちの顔を
詳細に思い出したくなったので
思い出してみていた

そうして
気づいたのだ

かれらの顔は
すこしも
“死”んでなどいなかった

やはり
大きな考え違いを
し続けてきていたのだ

ためつすがめつ
見つめ続けられるようになったことを
怠惰から
“死”などと
呼んで
済まそう
過ぎ越そうと
慣らされ
強いられてきたのだった

 

 

 

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