工藤冬里
色を選べる
目に映る色は選べない
このドームの端の寒さの中に
マスターは飛ばされ
色の心強さを蜜柑色のトラムにもとめる
どれも似ているマスターの物語made in chinaのボールペンで重ね書きする
地球はほぐれながら浮かんでいる
郵便配達員は熊の子を散らすように山に入った
名前の付いた神社たちに
ほつれた縄糸は張り巡らされ
二、三本足を失った親たちが逆さになって待っている
閃光除けのゴーグルをかけて
殺風なぬめりのある壁を背景にして
妄想が拉致される
犀のラインのマスクのまま
微妙な歳差に切り込め、
蒸発せよ、とバビロンに言う
南予のイントネーションで赤道辺りの蓋を開け
熱水による結晶を見せる
ホラホラこれがきみの中身だ
エリシャは王将に居たが
マスターに誘われると戻って肉を煮、餞別として人々に与えた
悲しみがどう表れるかは人によって違う
呼吸だけに集中とか言うけど目が詰まったマスクをしてたら苦しいだけだ
馬鹿な質問するんじゃない
子熊たちは散り散りになった
#poetry #rock musician