書くことへの執着を突きつけられて

 

ヒヨコブタ

 
 

本に囚われているような日々
もう何度も読み返しては毎日そのなかに入りこむ心地よさに嬉しく、また少し悔しい

わたしにはなにが書き残せるのかと
突きつけられるようなしゅんかんが痛くてまた心地よいのだ

この作者は一体何を思いこのストーリーにたくさんのひとをひきずりこめたのだろう
わたしは考えても仕方ないそれらに
頭の中半分程はしびれている

かつて今よりも真剣にそれこそ寝る間も惜しむレベルで書き散らしていた
それがじぶんができる唯一と信じて
わたしはなぜいまそれをしないのだろうか
あまりにその答えは狡くて現実的なのだ

死ななければいけないと思っていた日々にそれがあり、かきのこすまでは死ぬ訳にはいかないと取り憑かれていた
死ななくていいのだ、いつかその日がくるまではとわかったとき
あまりにホッとしてあまりに残酷にも思えた
いやそれは幸せなことなのだ
生きていていいのだとわかり、疑いながら生きていると
かきのこすということの意味も
また変わりつつある

わたしが書きたいのは
今頃地吹雪がすさまじく、春を待つあの地の人々のこと
それは何十年と変わらないというのに
わたしは本を読み返してはその心地よさに引きずられているのだ
なんという自堕落で幸せな日々なのかと頭を抱える
子どものように地面に寝転がってバタバタ手足を動かしたくもなる

このマスク1枚に護られた日々は
変わりつつあるらしい
持病を悪化させればわたしにも書く時間などないだろう
叫びだしたくなる恐怖と穏やかな日々は相反してもなお存在する

わたしは書くだろう
それを指命と思っているかぎり
何度でもジタバタするだろう
幸せで残酷な日々に

 

 

 

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