藤生 すゆ葉
にゃーっにゃーっ。
海猫の声で目覚める。
内陸だが浜辺にいる気分になる。
この音色は2月になった合図でもある。
ぼーっと呼吸しながら、時を感じる。
大切な夢をみた気がして、時を辿る。
あぁ、そうだ。
「地球は感情の図書館だ」
夢の中で教えてもらったことを思い出す。
誰かから言われたというよりは図書館の映像に言葉が内側から入ってくる感覚、
不思議な感覚。
目覚ましのスヌーズを消し、出掛ける支度をする。
お湯を沸かし、茶葉を泳がせる。
図書館は私たちが求める資料や情報を提供してくれる。
文字と心が寄り添うことで、人生を追体験するような機会もくれる。
地球は求める感情を体験する機会をくれる。
そういうことなのか、
様々なジャンルを好む方もいるし、SFばかりを手に取るように、
きっと地球というところも。
なぜかふっと軽くなった気がした。
つぼみだったグラジオラスが咲きかけていることに気づく。
美しい生命だ。
もしかすると生まれてくる前に予約をした感情を体験することもあるかもしれない。
きっと思い出したくないようなこともあるかもしれない。
でも、今、
そう、今からはあたたかくて美しい本をたくさん借りて読む。
すべて自由。
そう決意して、あたたかい光のなかで風を感じた。
愛を感じた。