北白川拉麺

 

廿楽順治

 
 

後ろ側ばかりを
声高にありがたがっていた

(じょうぶつじょうぶつ)
(外食は戦争そのものですもの)

今ごろになって
近所のひとが
液体のように生きのびているのに気づく

わたしたちの
のびきった対話も
テーブルの下で濃くなるばかり

向きあった両岸がずれて
器の影がむしょうにかゆくなってくる

タケオさんですか
ふいに耳たぶを舐められた気がした

背あぶらの
外地のタケオさんの

あまりのうまさに
わたしたちはぎょっとした

 

 

 

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