生盛薬館

 

廿楽順治

 
 

せいせいやかんのばいやくは
(オイチニイサン)

上手に数えることで
世界はまっすぐに暮れていくが
いったい

実人生とはなんであるか
咳なのか

ラッパのように鳴り出す路地で

足されることも
まして風景から引かれることもなく
生きていくことに

オイチニイサン
貴様はすこし泣いているのではないか

(せいせいやかんのばいやくは)

数のふりして
やかましく
膨らんでいくが

ずっとは
生きていけない内臓なのさ

 

 

 

鶴巻橋

 

廿楽順治

 
 

おとうさん
こんなところで
なまくらを抜いてどうしますか

水たまりになりはてた
女房の声だ

(強盗をしようとおもいます)

まずは
頭にのせたその
ふるい魚をこちらへよこせばよいのです
けして
声をたててはなりません

遠くの風景では
ひとびとが群れになって
一本足でひたすらすべっていきます

(きみらはただ無限に
 人生を改行したかっただけなのだろう
 そうは問屋がおろさない)

能書キハドーデモイイ
フトコロノ物質ヤ時間ヲゼンブ出セ

わたしは
なまけものなので
詩で強盗をしようとおもいます