原田淳子
まだ知らない
遠い窓をあける
報いを求める哀しみから焦点をずらす
ぼやけた未来を波に浮かべる
嘘ではない
複数の真実が芽吹く
枝分かれの時間
あの空に響く真実だけを選ぶ
ミモザの漣
哀しみだけが陽に反射する
死を風に溶かすと光がみえた
あなたをとうりすぎる風になり、笑う
光の速さで
分裂しながら生まれくる
春
貝は溶けるという
わたしの骨とおなじように
描かれた花だけが残る
花のうえをあなたの風がとおりすぎてゆく
去りなさいと風がいう
苦さの極みのあとに
sweet here after
土はあたたかく
無はやわらかい
窓は開け放たれたまま