羅宇屋

 

廿楽順治

 
 

象が
うずくまっていた

(じぶんの現象に夜通し泣けますか
 ってんだ)

羅宇屋の
汚れた指さきが

べったりと
わたしの夢の先端へ伸びてきた

どれどれ直してあげましょう
と声がやってくる

この場所では
あなたは もう「わたし」ではないのだから
というように

象はさらに
象のなかへうずくまる
(影はそれなのに少しもへらない)

ですが
その夜のくせはきっと直せますぜ

羅宇屋が
象の影とならんで

 

 

 

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