小関千恵
こどもたちに、自分の名前を書いてもらったことがある
ひとつの紙に書いてもらった
誰かがそこに、わたしの名前も書いてくれた
ただ名前を書いてみても輪郭は取れないが
「居る」ということが不思議と浮かぶ
あの子は
嬉しい時に 泣き真似をし
泣きたい時 大声で笑った
喜びたいなんて思う間もなく喜んだり
泣きたいなんて思う間もなく泣いたり
できずに
わたしはその素直さが嫌いじゃなかった
ひるがえる海
逆立ちをして
波打ち際に捕まっていた
きみの声 涙
逆さまの音を天に落としている
そしてそれは、
いつか地上へ還ること