たいい りょう
無明の空虚を彷徨いながら
澄み切った 湖面を
盲目の声で 眺めていると
森の中には
年老いた梟が 餌を食んでいて
雨 風 そして 光までをも
呑み込んでいることに 小さな声でつぶやく
小さな水たまりの傍に
古い切り株が 苔むしていて
我は そこに しばし 腰を掛け
肉体から遊離した精神の疲れを癒した
鴉の群が 葉をざわざわ ざわざわと揺らした
その瞬間 一枚の枯葉が 濡れた泥土に舞い落ちて
泥の中に沈んでいった
狂気は 森の静寂と魔性とによって
さらに 内向的になり
我の心を巣食う
終わりの見えない
黒い闇夜の天幕で
我は 一夜を明かすこととした