長尾高弘
哀れな罪人よ、
お前はなにゆえに首を斬られたのだ?
愛されるがゆえに。
我が君は愛するものから順に
断頭台に送っておられます。
函のなかに入れて、
いつでも見られるようにするために。
なんとわがままな!
で、お前は首を切られてから
お前の暴君に何度見られたのだ?
一度だけ。
それも最初の数ページをパラパラと見られただけです。
我が君は次から次へと首を斬ることに夢中で、
斬ったあとの私たちを見る時間は残ってないのです。
許せん!
お前たちに代わって、
このわたしが成敗してくれよう!
許してやってください。
今までだって、
私たちを見ることなどまずなかったのです。
それでも見たいという気持ちを表に出してくださったのです。
私たちにはそれだけで十分です。
で、お前たちはこれからどうなるのだ?
身体の方は再生に回されました。
きっと鼻紙として、
みなさまと再会を果たすことができるでしょう。
魂の方は函といっしょに朽ち果てると思います