ドクダミのうた

 

工藤冬里

 
 

場所がないので猫を抱いた
歌がないので歌を聴いた
光がないので女になった
愛がないので蛍を数えた
さわれないので木星を見た
悪がないのでドクダミを貼った
スペリオールに出ていた乾麺を5分茹でた
うすくらやみに白い十字のドクダミが看護婦のように浮かび上がっていた

遠くの信号が青になり
最期の蛍は泪のように消えた
蛙の弔いの声が永く続いた

 

 

 

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