道 ケージ

 
 

草が昨日、獣の背のように揺れ
撫でてみようとすると
風は揺れ、揺れもどり 
緑の皮膚になる

翡翠竜の背中が
ああだった
羊歯の汁をしきりに啜っていた

水面へと続く草陰に何匹も潜む
草波の揺れ具合が違うからわかる
数えきれない程の数だ

あまりに遠いと近くに感じる
身近というのではない親しみ
抱え込まず
風が通る
風が揺らす

曼珠沙華の咲いた辺りに
今日は忘れ草が
一斉に赤橙している

まさかそんなことはあるまい
全ての彼岸は同一である
全ての過去は現在である

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です