廿楽順治
燃料店のむすめはあかるかった
いつもわずかだが体が燃えているのだ
ばくはつのひとつ手前
(なのだろうか)
燃料
ということばには
わからない思想がないようにみえる
中学生のむすめの頬はいつも赤かった
あかるく
ふっとばすようなものがみのっていた
今日ふいにおもいだす
燃料のこと
燃料を売って暮らしていた家のむすめのこと
ばくはつのひとつ手前
(そこでしかみんなは暮らせない)
わからない思想はやがて
こっぱみじんになるのだろうか
むすめはもう
燃料ではないのだろうか