今井義行 2023©Cloudberry corporation
世界のすべてのをんなおとこは、“受精”(ジュセイ)を、めざして
在る、のです、か……?
性徴が悩ましく途絶えそうになり、わめいてしまった夜も、あります。
……どうしようもなく、抱かれてしまうことだけが、幸せでした。
僕には、おさない頃から、子どもを
つくる…能力がありません。
うあ、目の前に、嘗て一緒に暮らしたをとこである…建志(タケシ)サンが、居ます
「不死鳥なんて、見過ごそう。」と彼は今日、呟く。
アア…僕たちは…ずいぶん、歳をとってきました。
お互い、毛髪を朱く染めた。
一緒にながく歩いてきた。
「ドラムが巧くって、SEKAI NO OWARIって、良いバンドデスネ…!」と僕は言う。「義行(ヨシユキ)、お前の声、まだ声変わり前みたいな揺れ方ダネ。色めき立つような口づけを、?」
「幾つもの、聖夜のもとに…僕はふたたび身籠りましたよ。有り難う…!」
すると、建志(タケシ)サンは
ベッドでキラキラ身を震わせながら言うのです。「世界のすべてのをんなおとこは、“受精”(ジュセイ)を、めざして
在る、のです、か……?」
……………………
精子、どしゃぶり。
幾つもの性徴、幾つもの夜を辿っているとはいえ…僕たちは、衰えながら新鮮な、全裸です……。
愛し過ぎて苦しいと思うまもなく僕のぱんぱんに張り詰めた乳房の先から温かい母乳が零れ出す。You Light Up My Life…?(Goes Rock,愛のよろこびGoes To The Future, Fried Rice…!)
「建志(タケシ)サン、僕は柔らかいロックに行くし、未来にも行きます。」
「義行(ヨシユキ)、おなかが空いたからライスに行こう!ガーリックバターたっぷりのFried Rice…!」Fried Rice…!!あとで、お尻
の穴に塗りたいですね。
…………
そこからも時間は経ちました。お互いを愛おしみあいながら手を繋いで向かい合うとき…僕たちは、まだ綺麗だ。幾つもの性徴を過ぎて皮膚はたるんでいるかもしれないが、それでも、
世界のすべてのをんなおとこは、“受精”(ジュセイ)を、めざして
在る、のです、か……?
2023/06/13 アパートにて。