白について

 

野上麻衣

 
 

島にきて二日目
港から 山へ

朝の海をうかべた靄は
肌の上のしずく
半径1メートルの
白い情景

その色は
詩の役目を担っていた

ここでは
風だけが動いて
季節は止まっているね

この島には
港がふたつ
どちらに舟がつくかは
その日の風向きできまる

雲をみあげ
波をながめることは
遠くの風をよむことなのだった

 

 

 

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