工藤冬里
これだけの人が居ても
一人居なくなったと思うと
平穏では居られない
飛ぶことはできるが
低空でしか飛べない日に
やっとの思いでビルを超え
嵌め込み式ベッドを倒し
覗き窓に「まど」と書いて埋没しようとしたが
平穏では居られない
日が斜めに射す田圃
感情を押しつけて指を切らないよう注意しながら
白鷺の下を通過する
斜めの陽は秋にまで到達する
一人が居なくなっただけで
夜中に救急車を呼んで6万5千円かかり払えないので保険証を持ってまた病院に来ている
人生は一割負担にかかっている
最初期のルーリードのまま一生を終えなさい
デモテープのまま発表なさい
いますぐ発表なさい
近づいてくる救急車の
サイレンの音も入れること
自分のことしか考えていないので自分が子供を産むことをなかなか実感できない
#poetry #rock musician