まぶしい夜

〜志郎康先生を偲んで
 

正山千夏

 
 

右足を引きずって歩く
右の仙腸関節も神経にさわる
泣くこともできず
静寂の爆音にただ打たれてる

1993年の裸のラリーズ
川崎のあのハコで
膝を抱えて座ってた
からだの外と中の闇

無音の洪水に身をゆだねれば
時空が消える
充満する真空のなか
ゆらゆら揺れているんだ

忘却は記憶しない
ただ再生される音の波だけが
ひどくまぶしい夜
今も揺れているんだ

 

2023年8月27日
正山千夏

 

 

 

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