岐れ路

 

工藤冬里

 
 

明るすぎる
時は来なかった
一日の千年の
速い日暮れだった
半分しか息をしていなかったから
騒音が明るすぎたのだ
地下茎はいつのまにか途絶え
朱は山陵を染めなかった
透ける肉を翳して
G20に出席する政府の
岐れ路を見る
政府か政府ではないか、ではなく
その政府か別の政府か、なのだ
内向きの肩を開いて魚の背骨を矯正するつもりだろうか
腰のない湯呑を削り
嫋嫋と立たせ
傾けて雨水を流すなら
礫の多い虐めの記憶が
岐路としての器の冬なのだ
マスクをした国が孔に落ちる
息が出来ずに
盆地の集積としての球の一部分でしかないアースに
明るすぎない視線を引く
無理強いしないが
岐路が岐路として叫ぶ立体を聴かせる

 

 

 

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