無題

 

たいい りょう

 
 

死という名の列車に乗って
はるか はるか彼方 
何億光年の星を旅する

ワインボトルは 
わたしのこころのように
空っぽになってしまったけど
愛する人との思い出が
そこには 詰まっている

黄色い三角錐の形をした流雲が
列車の窓を叩いたとき
これは 亡者たちの記憶の欠片だと感じた

わたしは 欠片に 手を伸ばしたが
ふれると とたんに 水泡のように
消えてしまった

その音は 耳を砕くような烈しい音で
わたしは 一瞬 音を見失った

 

 

 

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