工藤冬里
誰に請われて話すでもなく
自ずから膨らんで裂け目を作るスコーンのように
頼れるかどうか分からない整備工を眺めるように
こちらも佇む
背凭れを使わず
寛いだ表情で聴衆は聞き入る
港町に吹く風は
音を拾われて電波に乗る
うまくやり仰せているように思えても
漏れた火は陸を這う
死体はミンチにしてマックで喰わせろ、と風がいう
脳梗塞のドームに兵器が当たる
灰の格言が吹き荒ぶ
漁船が入ってくる
草が揺れる
水鳥は詠まれて
サシで話そうや、とヨブは言った
まだ本がなかった時に
感情が背伸びして
間延びした自販機が撤去される
語尾砂漠に立ち消える努力
怪獣が向こうを向いている
胸のない山と腰のない木が向かい合っている
黒と茶色が垂れている
医療用マスクは青く
高校生が打ち上げた気球から地球が写っていた
成立するかしないか
戸渡を渡るベースラインを決めながら
非工芸を行く
打っても打たなくてもよかった
入れ替わってもよかった
万能感に浸ってはいけない
武器とはいえないものを使って
手に入るものを使って
まだ水気のある雄ロバの顎骨a moist jawbone of a male donkeyを使って
エン・ハコレ(呼ぶものの泉)はレヒ(顎
骨)にある
痛かっただろうな
痛かっただろうな
その後のデリラ
#poetry #rock musician