夏休み

 

廿楽順治

 
 

わたしとゆきこは
夢の駅前で
いい争いをしていました

おそろしさが
ただよっている

とうに死んでしまった子どもが
やってきて
「やめて」

といっているのに

しずかでなつかしい海辺のほうへ
きいろく濁って

これから三人
曳かれていくのでした

駅前でやきそばをたべたあと
わたしとゆきこは

生きかえった子どもと
耳をならべて眠っていました

ひとの死んだ夢を
盗んできたので
おそろしくしあわせなのです

 

 

 

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