廿楽順治
わたしとゆきこは
夢の駅前で
いい争いをしていました
おそろしさが
ただよっている
とうに死んでしまった子どもが
やってきて
「やめて」
といっているのに
しずかでなつかしい海辺のほうへ
きいろく濁って
これから三人
曳かれていくのでした
駅前でやきそばをたべたあと
わたしとゆきこは
生きかえった子どもと
耳をならべて眠っていました
ひとの死んだ夢を
盗んできたので
おそろしくしあわせなのです
わたしとゆきこは
夢の駅前で
いい争いをしていました
おそろしさが
ただよっている
とうに死んでしまった子どもが
やってきて
「やめて」
といっているのに
しずかでなつかしい海辺のほうへ
きいろく濁って
これから三人
曳かれていくのでした
駅前でやきそばをたべたあと
わたしとゆきこは
生きかえった子どもと
耳をならべて眠っていました
ひとの死んだ夢を
盗んできたので
おそろしくしあわせなのです