淡水

 

工藤冬里

 
 

釣り人は
幾重にも打ち寄せる小波の端で
公魚か
鱒様の豹柄のものを
魚籠に蓄えているのだった
島は島ではなく
堆積物のたまさかの隆起で
あゝそれは
海だったものの残骸であった
花崗岩の風化物としての
ただの淡水の

 

 

 

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