森そして冬の壁

 

有田誠司

 
 

矛盾と後悔 僕の弱さから来る痛みが空を覆う
気が付いた時には秋は終わっていた
漂う雲は形を変え その色さえ違って見える

冬が訪れるまでの暫定的な空白に
秋が好きだと言った 君の事を想い出した

僕等は地図も持たずに森を歩いていた
時の存在が失われた赤い森
其処は世界の終わりに似ていた

灰色の冬雲の翼 高く聳え立つ壁
僕を誘い込む幻影は暖かく
僕の心を静かに解きほぐす 
君の息遣いで満ちた部屋の様に感じた

不完全な僕と不安定な君の狭間
また冬が始まる

 

 

 

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