廿楽順治

 
 

「わたしは数えられたりしない」
のれんをくぐって
男の影はやってきた

みんな
みごとな豚です
重油だらけの空でそだってきた

傘をたたんで
定食を頼もうとする四千人

群れというのは
どうせみんな耳が濡れているのだ

傘のようにたたまれた眠りで
鍋へと飛び込む

「ひとりではないので」
いっせいに同じ夢を食らうほかない
やーい 豚

店の外に
四千人の
子どもがたかっている

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です