ほばしら立つ

 

加藤 閑

 
 

雪隔てわれらの星を覗き見るきみ

死者流すとき吹雪の中に檣(ほばしら)立つ

分銅を正義の側に冬傾ぐ

ひひらぎのその埋葬の浅さかな

冷たき舌花紺青に染まりたり

寒月光ピアノのなかの沙漠かな

楽譜きらら薄氷(うすらひ)越しの水きらら

初蝶や鋏錆びるを止められず

朧かな椅子の脚これ棒である

風船の昇りきるまでひとりかな

 

 

 

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