有田誠司
全てが暗示的で曖昧な夜
其処に大切な象徴を見つけようと目を凝らす
ただひとつ失いたく無いものを心に描いた
入江を渡る風の色が知りたかったんだ
その色でしか空白を埋める事が出来ない
最初からわかっていた
自分の属してる世界の価値観や
未来への展望だとか
そんな言葉を口にする人達
僕は耳を塞いで空を見ていた
夕暮れは以前より遥かに希薄に輝き
承諾を求める様に弱く消えそうな色に見えた
そして何も無かった様に夜が訪れる
相応しく無い人間が相応しく無い夢を見て
相応しく無い色を探している
相応しく無い女が 恥を知れ
そう吐き捨てて出ていった
全てが暗示的で曖昧な朝がやって来る