抱擁

 

たいい りょう

 
 

大海原に 抱かれながら
不思議な夢をみていた

花びらが 一枚一枚
風に 流されて 舞い散る

川面に 揺らぐ
妖精たち

音も聴こえずに
何ひとつ 発することもなしに
たおやかに 沈んでゆく

夢から覚めたとき
わたしは 一片の生を片手にして
目をそっと あけた

 

 

 

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