私鉄

 

廿楽順治

 
 

夢には
京成線しかでてこない

いくところがもう決まっているからだ
雨がふっていて

駅から
高速道路の下をくぐりぬける

さびしい商店街の奥に
食堂がある

そこでだれかと酒をのむ
「生きていたころと何もかわりない」

そう話すひとは「わたし」らしい
京成線は音がしないので

朝までのんでいても
じぶんからはけして目がさめない

「駅なんて
おれたちにあったかなあ」

その会話も
(二回目だ)
死んでいたころと何もかわらない

 

 

 

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