あなたを見ました

 

原田淳子

 
 

 

書を焚く煙
燃える東の空の下に
あなたを見ました

あの子が塗った緑色
崩れ落ちた壁のなかに
あなたを見ました

オレンジが沈む河の底に

片足の猫が寄り添う隣に

並べられた白い布のひとつに

花柄のコーヒーカップの脇に

錆びた井戸の底に

引き裂かれたオリーブの枝に

向けられた銃の先に

あなたが愛したその土地から
あなたが去ってゆくのを見ました

 

*「あなたを見ました」韓龍雲への返詩として

 

 

 

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