仮庵

 

廿楽順治

 
 

そしてひとびとは
おのおのの家に帰っていった

(姿をすてたのだ)

じぶんをはっきりと世にあらわしなさい
文字のように
と男たちは言った

それだのに
あなたは
いつも畑の隅にいて見えない

腹から
どんな架空の水が流れているのですか

わたしの仮庵から来たのは
もうわたしの肉じゃない

この祭りのために
刈りとられてきた
たくさんの隅っこの目玉たち

どれも
でたらめな方向を見ている

どうして
わたしの話すことがわからないのか
「まだわからないのか」

 

 

 

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