廿楽順治
「夜がくる
するとだれも動けなくなる」
ひとりで
その本を読んでいると
道の前に入り込んでくる盲人がいる
泥のついた眼で
(やがてそれは開くのだが)
本の男はなにも知らない
なぜ眼なのか
なぜその先が他人の風景なのか
「見える人たちが
見えないようになるために」
ぬるぬるするものが
足のうらへ
くっついてくるのだ
「夜がくる
するとだれも動けなくなる」
ひとりで
その本を読んでいると
道の前に入り込んでくる盲人がいる
泥のついた眼で
(やがてそれは開くのだが)
本の男はなにも知らない
なぜ眼なのか
なぜその先が他人の風景なのか
「見える人たちが
見えないようになるために」
ぬるぬるするものが
足のうらへ
くっついてくるのだ