野島夕照

 

廿楽順治

 
 

日の当たりたる
(あれが)

焼け跡となる
こともあるだろう

喫茶「オリビエ」の奥で

ひとのいる気配がある
(でも死んでいたかもね)

湾のずっとむこうを
誰かの長い首が

くるしげに
上下したようにみえた

あれが
クレーンというものだ

(ひとびとのあかく枯れた声)

 

 

 

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