あかし

 

廿楽順治

 
 

こういう女は石で打ち殺せ

あのひとは
身をかがめて
指で地面に何か書いておられた

「ひとりで書くのは
あかしではないだろう」

死んでしまったやつと
いつもふたりで
「おれたちは法のあかしをしている」

奴隷はすぐに
町へと出て行くだろう
だがわたしは子としてここにいるのだ

女と死んだやつはここにいるか
あなたたちは女の下からでてきたか
女に石を投げ続けたやつはいるか

どうして
この話がわからないのか

そう地面に
指で
ふしぎな不等式を書いておられる

 

 

 

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