辻 和人
まるまるっとした
コミヤミヤのおてて
には今
<無限なるもの>が握られていた
球体からチューブがまるまるっと飛び出した形の
タコみたいな火星人みたいな
知育玩具
触っても触っても
あとからあとから
まるまるっと
触手
飛び出してくる
限りがない
コミヤミヤの目とおてては真剣そのもの
触れば
まるまるっと逃げて
追っかけると
次の触手が
まるまるっと飛び出してくる
触る、追う、触る、追う
そうやって<無限なるもの>
はいつまでもいつまでも
コミヤミヤのおてての中に
まるまるっと
いる
目とおててが
連動することを覚えたんだね
でもって遊ぶってことは
<無限なるもの>を
まるまるっと
追っかける
っていうすばらしいことだったんだなあ
ぼくの腕の中には今
遊び疲れたコミヤミヤが
まるまるっと
いる
どこまで成長するかわからない
<無限なるもの>だ
ふわぁっとあくびして
もうすぐ寝るだろう
お休みなさい