佐々木 眞
2025年7月
NYではLAより物価が高いので、生活が苦しい労働者が、かつての西部開拓時代のように続々移住しているらしい。7/1
彼女はピアニストとしてはたいしたことはないが、聴衆の反応を実に正確にコメントすることができるので、いつの間にか音楽批評家を名乗るようになったずら。7/2
久し振りに電話してきた先輩のタカハシさんが、「夕暮れに丘に登ると、海からの風を感じる」というた。ちなみにタカハシさんは、日野に住んでいるようだ。7/3
その寿司屋では、三日間限定で食べ放題の大サービスを実施したので、犬猫熊にんげんを問わず、千客万来の大繁盛だった。7/4
ガザの民草の言葉と断片的な映像をちりばめた、60年代の白黒ポスターが、湾岸の廃墟に貼られているのを見つけた。ADは藤幡正樹だった。7/5
サブスクであらかじめ決済された取引なのに、アマゾン族の酋長は、「是が非でも今日中に納品せよ」と不定期労働者に命令するのだった。7/6
我は長々と眠りこけていたが、そんな我をひたすら待ち設けている奴がいることを、我はうすうす感知していたので、なおも眠り続けていると、いつの間にかそやつはいなくなってしまった。7/7
おらっちは、昔リーマン時代にバイヤーと直談判して獲得した衣料品売り場で働いていたパートの女性たちが、売り場も、デパートも、衣料品会社も地上から消え去ったいま、どこでどうしているかを思いやって、複雑な気持ちになった。7/8
フランコ軍の優秀な狙撃手に心臓を撃ち抜かれたおらっちは、「右の義眼に映じたスペインの蒼穹の青がやけに沁みるなあ」と思いつつ瞑目していった。7/9
「悪の華」教室では、毎回違った視点で人世を見直すことになっていたので、今回は「もし毎日が2時間だけだったら」をテーマに、出席者全員で討論していったのよ。7/10
5大都市を代表する5人の容姿端麗年齢不明の美女たちは、なぜだか出身地の名誉を賭けて、一大コンテストに出場することになった。7/11
町内で戦争参加を意思表示しているのはたったの3名だったが、3名とも家族、殊に妻君との人間関係に破綻して、黒い絶望に駆られているのだった。7/12
溝口、小津、黒澤をはじめ、我が国の名監督たちの影のプロデューサー役を務めていた女性が、ひっそり亡くなったことを、誰も長らく知らなかった。7/13
ワレは弁護士がヘンルの方法を思いつかなんだひこんを丸はたのしてこらよかった。7/14
強風劫火の実態を、ドキュメンタリー映画で撮影したい、と念願していたベテラン俳優は、雇い入れた若手の映画監督が、テストばっかり繰り返すので、次第にやる気を失い、とうとう全てを投げ出してしまった。7/15
監督がもっとフツウでいいというのに、僕たちはタメをはってヘアメイクひとつとても徹底的に拘るものだから、結局映画は完成しなかった。7/16
急いで家を出て電車に乗って、駅の改札口を出てからコンビニでコーヒーを買おうとしたら、財布にはお札も小銭も入っていない。コウ君が抜いたんだと分かったが、もう遅い。スイカの残高が500円しかないので、ここから歩くしかなかった。7/17
我々が敵をホールドアップさせている間に、少年は、敵の捕虜になっていた両親を目ざとく見つけて、ひしと抱き合っていた。7/18
急に便意が催してきたので、急いで柵の中に入り、テキトーな穴ぼこの上に跨って尻を晒していたら、勤め帰りの連中が柵を開けて大勢侵入して来て、次々に穴ぼこの上に跨るのは、奇妙奇天烈な光景だった。7/19
女にどんな夢を見たのか尋ねたら、一晩中いろんな夢をいっぱい見たと答えたが、くわしいことは何も覚えていないというのだった。7/20
品川駅では満席だったので、東京駅まで行って新幹線の始発に乗ったら、同じ車両の遠いところにワカバヤシ、マエ、サカイの3名が雁首揃えて座っていたのだが、新大阪に着いても、知らんぷりを決め込んでいたのよ。7/21
アラビアの王子は、アラビアのロレンスが大好きだったので、宮廷政治などそっちのけでハーレーダビットソンを乗り回しているうちに、ロレンスみたく交通事故で死んじゃった。7/22
大リーグにいた稀代のノーコン投手が帰国して、クマさんチームに入ると聞いた監督のおらっちは、小躍りして喜んだ。うちの打者がバットを振りさえしなければ、四球の連発でどんどん点が入るからである。7/23
野外で大カラオケ大会を開催することになったので、ありとあらゆる曲を野外で全曲再録音することになったのだが、音大卒のアルバイト嬢が、全員咽喉を壊して寝込んでしまった。はてさてどうしたものか? 7/24
北風が吹き募って難儀な夜だったが、そんな日には、この地方では夕方から部落全体をすっぽり天幕で覆うので、人々は朝までぐっすり眠ることができるのだった。7/25
「音楽王」と称された父の薫陶を受け、その後継者と目されてきたおらっちだったが、この際思い切って居心地のよいぬるま湯的情愛歌を脱して、海のものとも山のものとも知れぬ超インディーズものを強力にフューチャーする独自路線を猛進することにしたのよ。7/26
この巨大な宿舎は、あまりにも広大すぎて、午前中に入った温泉に浸ろうとしたのだが、どこだったかてんで分からない。途中で大階段を降りようとしたら、急な俄雨に降られて、びしょぬれになってしまった。7/27
巨大な山を真っ二つに切り出して造成した大学は、物凄く広い。大浴場に行く途中の急な崖には、階段状の広いコンサート会場や、それぞれ2つの十字架を持つ新旧2つのキリスト教会の会堂が、隣り合わせに聳えていた。7/27
今日は月に一度の面会日。たくさんの食べ物やお菓子や果物を用意して、牢屋から息子が出てくるのを、今か今かと待っていたが、なかなか出てこないので、不安になる。7/28
この村のどこの居酒屋に行っても、入り口で大声で騒ぎ立てる奴がいるので、俺はその都度ブスッと刺し殺すようにしていた。この鋭い短刀で。7/29
警官のおらっちが、ネズミ男を駐車違反で捕まえると、ネズミ男はニヤリと笑って、「今度はあんたの番だぜ」と囁いたのだが、案の定おらっちは、翌週ネズミ男に駐車違反で逮捕されてしまったのよ。7/30
最新型の潜水艦からは、潜望鏡を上げなくても、外部の様子をくまなく観察することができたのだった。7/31
2025年8月
むかし彼女にプレゼントした現代人必携の教養書が「国のあけぼの」で、これに加えて「国のいきおい」、「国のほろび」の3点セットは、わが社随一のベストセラーになったのよ。8/1
どこかで見た顔つきのゲタ男が、スマホを取り出して、なにやら業務連絡を始めた。8/2
人殺しを始めたら中途半端は良くない。一人より10人、10人より百人、千人を殺せばそのうち誰も文句をいわなくなることをよく知っていたので、そいつは毎日500人をノルマに、どんどん人殺しをしていた。8/3
頭の中で、あるコトバを念じただけで、直ちに印字できてしまう最新システムが完成したのだが、いまだに漱石山房の原稿用紙に、モンブランの太字で小説を書いている俺は、焦った。8/4
その人気番組は、実はダブルスタッフで運営されているので、メインのキャラクターの演技がいまいちな時には、もう一人のキャラの映像が使われるのだった。8/5
「話し言葉」はダメで「書き言葉」だけが許される戦争なので、とても不便。指揮官も単純に「撃て!」と命令すればいいのだが、「はじめに我らの兵の一撃あるべし!」などと、もって回った言い回しにせざるを得ないのだった。8/6
その地方検事は、地方に出張しては、隠匿された軍慰安婦を探し出して保護していたので、まるで神様のように崇められていた。8/7
人事に頼まれて面接に臨むと、おらっちは、いつもこの有為な人材を他社に取られたくないというて採用しようとするので、人事のウチダに警戒されて、あまり声がかからなくなってしまった。8/8
人気、実力、人格随一無比のイシイ選手に対して、瞬間湯沸かし的な嫉妬に駆られたおらっちは、愛用のブラウニングで撃ち殺そうとしたが、幸か不幸か未然に逮捕されたので、10年間牢屋で暮らしたんだ。8/9
そのテレビ局の地下1階のフロアには、いつも湧水がいちめんに流れていたので、夏は天然冷房状態だったが、まるでアニメのヒロインのような少女が、清水を掬って一口飲んでいた。なんでもテレビ局の社長の一人娘らしい。8/10
線路際で電車を待ちながら、「今日はまた格別に暑いですね?」「ええ」「どうですか、どこか涼しいところで冷たいかき氷でもいかがですか? 私は真っ赤なイチゴが大好きなんですが」と、ゼネラル広告のオカモト氏は言葉巧みに誘って、これまで何人もの美少女をモノにしてきたのであった。8/11
鎌倉霊園の近くの県道にたむろする大型バイクの暴走族の排気音が凄まじいので、テラオ氏は単身県道の中央に仁王立ちになり、さながら武蔵坊弁慶のごとく大手を広げて立ち塞がったのよ。8/12
ここは山紫水明の別天地だが、生憎交通の便が最悪でこれまで観光客など皆無だったのだが、最近は地元民より怪しい風体の外国人の往来が頻繁になってきたようだ。8/13
花形12人衆のうちの誰か1人が、死地にあったおらっちを救い出してくれたのだが、それが一体誰なのか分からない。お礼を言いたくて懸命に探し出そうとしたのだが、その行方は、杳として知れなかった。8/14
死にゆく女には、ただ一人だけ会いたい人がいたのだが、奇跡的な邂逅の願いはついに果たされることなく、永遠に沈黙したまま冥い泉下へと沈み込んでいった。8/15
最高権力者の晩餐が終わると、あたしたち2人のどちらかが、食後のデザート代わりに呼ばれて、四阿の寝室の中でお伽をさせられるのでした。8/16
わが軍では、ある時から2人1組のユニットで行動することに決めたのだが、これが意外にも功を奏して、連戦連勝が続くことになったのよ。8/17
「宣伝が最高のイメージを演出しても、商品がそのイメージを裏切ったら、宣伝なんかしない方がよかったという結果になるんだよ」とアホ無垢に語ると、ワンワンと頷いたげな。8/18
ソロモン王は、宮殿の寝室で血を吸うた蚊を殺しそこない、あまつさえ山百合の花が乱れ咲く花園に逃げ出したので、悔しくて悔しくてたまらず、幾世代後の後にそれを気の毒に思ったマタイが福音書第6章第28節以下の名文句を遺したのだった。8/19
4名の犯人のうち、どれか1人を殺すことになったのだが、選ぶ基準を巡って邏卒らに論争が起こり、陽が沈んでも落着しないので、とりあえず今日の処刑は延期することになった。8/20
戦士たちの慰安に供せられる映画を事前に検査するべく、在庫のビデオを鑑賞しはじめたのだが、これがいつまで経っても終わらないので、命じられた俺たち2人は途方に暮れた。8/21
「間もなく大地震が必ずやって来るから、そん時は、まず大きな握り飯を仰山作るんだ」というておったら、その翌日に関東大震災がやって来たので、落ち目のヤマダ組が、久々に高く評価されたんよ。8/22
ほんでなあ、しばらくすると放送局に昔馴染みが避難してきたので、スタジオから「嘆きの貌」をオンエアすることができたんよ。8/23
余は少年時代の夏休みの宿題で企画構想した「毛髪湿度計」を、長じて就職した計量器メーカーで半世紀後に製品化したところ、意外な人気で売れに売れ、国内のみならず世界中で引っ張りだこになってしまった。8/24
あたいはお姉さまから頂いた新幹線のチケットを自動改札に入れたら、駅員が飛んできて、はじめは「これはフェステイバルホールの入場券だからダメダメ」というてたんやけど、ひるむことなくぐあんばってたら、とうとうとう根負けして通してくれたんで、無事東京に帰ってこれました。8/25
おらっちが投げる日は、堅守の内野がダイチョンボするとか、一番まともなリリーフが大量失点しておらっちの勝星を失くすとか、必ず災いが起きる。もう、やってられへんわい。8/26
広い倉庫の中をぶらぶら歩いているうちに、光文社の書籍が、じつは岩波書店の第3編集部で、ひそかに製作されたものであることに気づいた。長年続く出版不況で、老舗も生き残りに懸命らしいでよ。8/27
セイさんが描いた銀座のビルヂングのイラストを持って、実際に銀座に行くと、次々にそれらが具現化していくので、「あだやおろそかでスケッチしてはいけない」と、思い知らされるのだった。8/28
非常勤講師の唯一の楽しみは、その控室で、国籍やジェンダーも不明な呉越同舟のメンバーたちと知り合うことで、時折人間とは思えない輩もいるのだった。8/29
誰かから、「あんたは角丸世代!」と決めつけられたので、「それはクロカンとフランケンシュタイン、辺見庸、辻真一、中島みゆきなんかの話。おらっちは反角丸の三羽全学連シンパやった」と訂正すると、「シンパって何?」と聞き返されちまったよ。8/30
だっせえホームスパンの上着を羽織っているバアサンの傍を通り過ぎようとしたら、一瞬にしてひっくりかえされちまった。ああ、油断した、ユダンした!8/31
2025年9月
兵庫県も、大阪府も、基本的には維新仲間なので、お互いに仲良く談合して、今日からイシン副都心連合を立ち上げたらしいが、4月莫迦かと思って、誰も報道しなかったらしい。9/1
文化の学生が死んだ翌日、また文化の学生が死んだ。するとその翌日、また文化の学生が死んだ。するとその翌日、また文化の学生が死んだ。するとその翌日、また文化の学生が死んだ。するとその9/2
「痩せても枯れても、俺たち武士だ。平民風情に絶対負けるわけにはいかぬ」と、眦を決して戦ってはいたものの、だんだん手負いのものが増え、とうとう「負けるが勝ち」と、蜘蛛の子を散らすように、すたこら逃げ出したとさ。9/3
荷風散人の引っ越し手伝いは、おらっちを含めて全部で10名ほどだったが、みんないいやつばかりなので、引っ越し作業が終わってからも別れがたく、期せずして大宴会が始まった。9/4
我が家はミサイル発射基地の近所にあるのだが、時折敵に向かって撃ちだしたはずのミサイルの不発弾が、道端にごろごろ落っこちていたりするので怖くなる。9/5
モスクワのKGBスタッフの平均月給は20万だが、人を殺すたびに特別手当が出るので、そのボーナス頼みで、みんな仕事に精出しているらしい。9/6
今回の敵は、どうやらヤクザか、KKKか、狂暴なテロリスト集団のようだが、どっちににせよ、わいらあ仕事は仕事なので、バリケードめがけて押し寄せる彼奴等を、バースカ砲で、殺しに殺しまくっていた。9/7
オオノが白い大きな犬と一緒で青物横丁で目撃されたというので駆け付けたがいない。夜になると岡山の海産物問屋でぶらついているのがテレビに映っていたという。9/8
永年に亙ってガン研でガンの研究をしていた友人が、なんとかガンに罹らずに退職し、永年のガン研究の成果を100冊の私家版にまとめたのだが、誰も読もうとしないので、私ともう一人の友人が義理買いしたのよ。9/9
戦時下のウイーンで曖昧な生き方をしている我は、毎晩喜歌劇「こうもり」を専らクライバーの演奏で楽しんでいた。9/10
株式会社夢工場では、社員全員が見た夢をAIが自動的に記録し、その内容を毎月審査して人事考課に反映しているという。9/11
社員旅行で巴里に出かけた一行は、一人ずつ特製カメラを与えられ、町中の風景や行きかう人物を撮影してくるように厳命されていた。9/12
いつもの姿勢制御のコントローラーが言うことをきかなくなったが、どうしていいのかさっぱり分からない。9/13
隣のお兄ちゃんは海釣りが好きなようで、時折我が家におすそ分けしてくれる。今回は新鮮なイワシ。早速妻が小骨を抜いてお刺身にしたら肉がブイブイしていてとても美味しかったのよ。9/14
その赤ちゃんは誰かの真似をするように、「天上天下唯我独尊」と賜ったので、さすがのトランプも打ちのめされて参ったようだった。9/15
イケダノブオは当時高級お子様料理を作っていたのだが、ある日自分の本業はふぁっちょんだったと思い直して、それからは高級子供服ブランドの立ち上げを目指したことだった。9/16
おらっち夕方沖縄に到着したら、客室乗務員が占いしませんかというてしなだれかかてきたので、占いは大嫌いだとと叫んで睨む付けるとスゴスゴと退散してしまったよ。9/17
京からタクシーに乗って丹後の宮津でピンと出したら、ウルセイ君がしたり顔で「うるせえ!」と怒鳴ったよ。9/18
満員電車の中を容貌魁偉で頑強な体躯をした中年の酔漢が、吊革にぶら下がったまま、右に左に大揺れしながら嘔吐するので、乗客たち全員が隣の車両に逃げ出した。9/19
ういではアパレル商売をやっているつもりだったのに、中国ではスパイ行為をやっていると見做されていたようだ。もうこんな国には二度と行きたくないずら。9/20
某宗教団体から教団服を作ってくれと頼まれたので、幹部服、エリート服、その他大勢服の3つのグループに分けてデザインを考えているのだが、それらのデザインをどう変えるのかがつかめなくて往生しているところ。9/21
「大川に塩を入れたら海になる」という川柳を参考に何か作りなさい、という兼題が出たので、しばらく考えたがなーんも思い浮かばなかったので、「大海の塩を取ったら大河なり」と詠んだのよ。9/22
「コウ君そこは足場が悪いから、もう少し上の乾いたところを歩こうよ」と呼びかけたのだが、その時遅く、かの時早く、愛する我が長男は泥んこ道に足を取られて急坂をごろごろ転がって遥か麓まで転落してしまった。9/23
25、6時間戦っていたリーマン時代は、毎晩午前2時までは会社で働き、もはや電車もないので、五反田か新橋のカプセルホテルに泊まって、早朝出勤するのがいつものパターンだった。9/24
おばはんに「そごうじゃない百貨店が近所にあたよね」と訊ねたが、「知らすか」という。店から離れたことなんかないから仕方ないのだが、その癖よそで不浄を借りた時のために500円玉を包んだ落とし紙を3個いつも懐中している。9/25
交通事故に遭い、裁判の結果一生涯先方がおらっちの生活の面倒を見てくれることになったのだが、なんか一生涯おらっっちの自由が奪われたような気がして、いいのか悪いのか分からんようになっちまった。9/26
いつものように出社したら、秘密警察の連中が俺のデスク周りやパソコンを勝手に荒らしまくっている。「何すんねん!」と抗議したら、「あなたの書いた広告コピーが治安維持法に抵触する危険なものだという通報があったので緊急捜査しています」というのである。9/27
それにしても荒廃したこの大阪支店は、まるで落城した大阪城みたいだ。3階の砕けたコンクリの穴から水浸しの2階が見える。声を出して呼んでも、誰一人答える奴はいない。9/28
世界一周旅行ができる航空券をもてあそんでいるうちに、真っ二つにちょん切れてしまったが、こんなんで搭乗できるのだろうか?9/29
最初はどんな映画も面白くて試写会には喜び勇んで出かけていたのだが、そのうちにだんだん詰まらなくなり、しまいには詰まらない映画をみたり、PR会社の担当者に感想を聞かれたりするのが苦痛で苦痛で、とうとう試写会には行かなくなってしまったのよ。9/30
2025年10月
緑陰深い渓谷の夕べ、おらちがビーフカレーを食べていると、どこからか飛んできたミドリシジミが向かいに座っているジョセフの右指に止まったので驚いて、そのミドリシジミを僕に呉れよと言ううとジョセフがおらっちの左の人差し指に止まれせてくれた。この世のものとも思えない美しいゼフィルスよ!10/1
国立オペラでロシアのオペラをイスラエルの指揮者が振ることになったので、管弦楽団がのメンバー全員がストライキをうたので、公演は中止のやむなきに至った。10/2
最早1敗も出来ないと思うと全身が緊張の塊りと化し、コチコチになってしまったが、結局は打者に対して1球1球全力で投げこんでいくしかないのだと思い返すと、いつもの平常心を取り返すことができたのよ。10/3
次々に准将に打ち破られ、遂に主将ひとりが孤塁を守る状態になった5人組柔道勝ち抜き大会だったが、さすが我らが主将、敵の准将と主将を連破して栄冠を勝ち取ったのだった。10/4
このリーグではGⅯとは異なるコレオ・マネージャーというのがいて、野球の試合そのものよりもそれに付随する選手の振り付けを担当していた。10/5
三味線一挺を抱えて舞台に登場したその男は、哀切極まりないメロディを奏でて、超満員の聴衆たちを忽ち魅了したのであった。10/6
その女は吉原や須崎の遊郭には属さない所謂私娼だったが、淫乱とは思えぬ愛らしい面立ちとまるで処女のような可憐さと初々しさが持ち味なので、荷風散人の私は、自然と夜な夜な馴染むようになってしまった。10/7
なかなかいい鞄を自分で作って売っている後輩が、出店しているデパートから様々な迫害を受けているがどうしようかと相談されたので、もう店売りは止めてネット通販だけにしたらとアドバイスしたのよ。10/8
巷で大暴れしていた大泥棒を銀座四丁目で真昼間に発見した月光仮面は、乗ってきたオートバイから飛び降りて逮捕したので、即座にセーブポイントがついた。10/9
おらっちゲリラ。町内の電燈を壊し、街灯を壊し、常夜灯を壊すという3段階作戦を展開したが、とうとう力尽きたので、赤い褌姿で投降したのよ。10/10
多孔性金属錯体と有機金属構造体と制御性T細胞の違いと相関関係について述べよと迫られたが、いくら考えてもてんで分からんかった。10/11
就職の内定を貰った会社へ行って軽トラに寝転がっていると、ベテラン社員のナカニシさんが、「こんな青二才を取るなんて会社もどうかしてるなあ」というあが、おらっちも自分自身でそう思った。10/11
ここはどこの海岸だろう? 懐かしい故郷の海辺を去ってから早幾年。海水は私の体に触れてから猛烈な勢いで沖に去っていくのだが、その悪臭は耐え難い。私はいつの間にかどんどん腐りゆく長大なナガスクジラになっていた。10/12
バーンスタインが26夏に3回目のマーラーの交響曲全集を録音することになった。今回のオケはルツェルン祝祭管でコンマスは勿論ヘッツェル、会場は第8を除いてウィーン楽友会大ホールだそうだ。10/13
明日はいよいよマーラーの交響曲第5番のライブ録音。トランペット奏者のおらっちは超難しい冒頭の独奏で頭がいっぱいなのに、バーンスタインが自室に来いというので心配だ。きっと「明日はやっちゃいなよ」と言いながらおらっちの金玉を弄ぶに違いない。10/14
死にそうに苦しいので医者が呉れた薬を飲もうと思うのだが、2種類の内のどれを飲んだらいいのか分からないうちに時がどんどん過ぎて行く。10/15
漢字でいくか、それともアルファベトで検索するのとどっちが早いのかてんで分からないので、暇な時に試してみたら漢字の方だった。さすがは今では貴重なものとなった日本製のパソコンだ。10/16
戦場で敵を殺すとその人数に応じて国から報奨金が出るので、我も我もと貧乏人が参戦してくるが、半年も経たないうちに死んでいくのだった。10/17
おらっち今日は好調で、なんと3人もの敵を殺したのだが、彼らの武器をどう始末しようかと迷った挙句、市の指定するゴミ袋に入れて所定の場所に置いておいた。10/18
かくして余は大川を渡って蛮人共のが跋扈する辺境の地へ進軍することになったのよ。10/19
なにやらこの国には今まで見たことも聞いたこともない怪物が潜んでいるっことがじょじょに分かってきました。10/20
本番で4つのところを3つにして歌ったり、即興で下らないセリフを入れたりしたので、怒った演出家は、おらっちを即クビにしおったのよ。10/21
真夜中にキチジョウジとおぼしき駅の近所のバスターミナルに一台のバスがよろよろと到着したのだが、思いがけず大量の乗客がどっと吐き出されてきて、一群の泥のように固まってしまった。10/22
夢遊病者のように道路のど真ん中をふらふら歩いていたが、トラックに撥ねられもせずに家までたどり着いたのは、殆ど奇跡といえるだろう。10/23
おらっちは、彼にそのことを伝えると、必ずや悪い結果になると知りながら、それを彼に伝えてしまった。10/24
たった3秒で3人の打者を片付けた後、その男は立て続けに3本のホームランを打って、野球の醍醐味を世界中に伝えったのだった。10/25
青森一の豪農の主人には奇妙な性癖があって、自分が手塩にかけて育てた一番米を流通に回さず、押し入れの奥に隠して時々嘗めてみるのだった。10/26
ファシスト政権は「スパイ法」に続いて「隣人愛染法」も成立させ、全国民の相方を指定して毎週お互いの動静を上長に報告させる人民監視制度を発動したのであった。10/27
10時頃に寝たんだが、1時間ほど眠った後は眼が冴えて全然寝られないので、朝まで本を読んでいたが、いつしかまた夜になっていた。10/28
7回に0-2で負けていたので、今日はダメかと思って半ばあきらめていたら、8回に2ランが出て同点。9回裏2死満塁で暴投が出て、サヨナラ勝ちを拾ったのよ。10/29
昔々の大昔、四球王と呼ばれた老選手が代打に立って、押し出しのフォアボールを選んでくれたので、嬉しかった。10/30
ジョーン・バエズになったブロンズ新社のワカツキさんが、テレビに出てきて、新宿西口の地下は通路ではなく公共の場所だから、もとの新宿広場に戻しなさいと阿呆莫迦ベビーガールを窘めた。10/31
