塔島ひろみ
おばあさんは魔法の杖で どんどんどこまでも歩いていく
枯木をまたぎ 塀をのぼり 川を泳いで
魔法の杖はおばあさんを引っぱっていく
目の見えないおばあさん
どこへ行くのかわからない
ここがどこだかわからない
口をぎゅうと結んで 魔法の杖を握りしめ
おばあさんは
好きな人のところへ行くのである
おばあさんは
大好きな人のところへ行くのである
道なんか知らない
でもおばあさんは
好きな人のところへ向っていた
しわくちゃの顔で 曲がった足で
白髪頭で 歯のない口で
魔法の杖を カサカサの手で握りしめ
小鳥のように
タンポポのように
歩いていくのだ