島影

 

島影という
葉書が

届いてた

今朝
気づいた

昨日の夕方

ポストに入れられて
夜中の雨で

濡れたのだった
ろう

たわんでいた

濡れて
たわんで

写真展の葉書は届いた

いつか
どこか

遠くの人に葉書は届くだろうか

雨のなか

傍らの人に
にぎりめしを渡す

水田に身をかがめて
母は

苗を植えていた

身をかがめて
渡す

・・・

そのアルゴリズムを通して
かなしみは抽象されるか

死後硬直の煎餅は
地中で平面となり

・・・

という手紙が

昨日
工藤冬里から届いた

そこにいる
もう長いこといる

ずいぶんといる

そうでなければ
木蓮は

白い花もつけなかった

木蓮の花は
あなたでもわたしでもない

ことばでもない

ただ
佇っていた

島影はいた

島影は
佇っていた

母は
水田に

いた

アルゴリズムから逸れていた

 

 

 

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