松田朋春

 
 

電車で席を譲ったけど
座ってもらえなかった

窓の外をみてなぜか
わたしの死んだ犬は誰に席を譲ったのかと考えた

亡骸を撫でても
毛並であたたかく感じた
今までで一番よく眠っている
きれいな顔を見て
死ぬことの実感がやってきて
寂しく感じた

 
空っぽの席を感じる
いつまでも

 
かといって
死にたくなくなるのは
もっと嫌だ

 

 

 

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