工藤冬里
あなたはなにをしてきたのか、どこからきたのか
自分で穿いたズボンのバンドを締め上げ地球を巡り歩きたい所を
歩き回っていました
もっと若かった頃は
地上そのものが牢獄なのだから場所の移動など何の意味もないと考えてみたりしてましたが
歩き回れなくなって愈々、
玉虫厨子とかを除けば、
見た、行った、が何の足しにもならなかったと身に染みました
ああそれでも
今よりもっと若くて元気だった頃は歩き回っていました
見た気になった仮想の平等主義を批判しながら
絵葉書にさえ納まりました
それが年を取ると
自分でズボンも穿けず
はい万歳してー、
と言われて伸ばす手からすっぽり
拘束衣を被せられ
徒刑場に連れていかれます
それが申し込んだツアーの結末
となりました
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