みわ はるか
久しぶりにコンビニに入った。
そこでしか使えないプリペイドカードをもらったからだ。
夜ご飯を作るのが億劫になりがちな金曜だったため迷わずお弁当コーナーへ向かった。
コンビニというのは本当に便利なもので野菜、魚、肉、フルーツとなんでもそろっている。
なんとなくエビが食べたいなぁと思ったわたしはグラタンを選んだ。
大きなエビが4つも入っていた。
レジの女の子は20代前半だろうか手際がよかった。
慣れた手つきで会計までの処理を進めていく。
「温めますか?」
「あっ、お願いします。」
チーン
「熱いのでお気を付けください。」
「あっはい。・・・・・・・あっつつつつ、熱い。」
「ハハハハハハ、熱いですよね。気を付けてください。ハハハハハ。」
2人で笑った。
初めて会ったのにお互いの目を見て笑った。
居心地のいい笑いだった。
週刊誌コーナーに行った。
自ら命をたった有名人の記事が大きく取り上げられていた。
最近多いな・・・・・。
信憑性はよく分からないけれど家族の問題、親族の問題、色々書かれていた。
幼いころ、サザエさんはテレビの中だけの存在だと思っていた。
みんななんだかんだ仲が良くて、同じ食卓を楽しそうに囲んで同じものを食べる。
怒られているシーンさえも愛おしく思うようなそんな感じ。
休日にはみんなでお出かけしたり、ご近所とも和気あいあいみたいな。
でもそれは現実世界でも普通にありえるものだということを成長するにつれて知った。
大人になると結婚した友人や一人暮らししている知人が「あー来週は実家に帰ろう。」とか、
「実家でのんびりしよ。」とつぶやく言葉を頻繁に聞くようになった。
いいなぁ、羨ましいなぁと心から思った。
もちろんわたしにも実家はある。
小さい頃は家族みんなで花火をしたり、蛍を見に行ったり、海に行ったり、みんなと同じことをした。
でもなんとなく色んな事が不器用な人の集まりで、塾にいる時が居心地がよかったりした。
そんな感じで来てしまったのでわたしも色々と大人になって不器用な人間になってしまった気がする。
「愛想」について真剣に考えたり、何物でもない者に怯えたり、考えることを全てやめたいと思ったり。
家族は大切だし今でも定期的に会っている。
それでも心のどこかでわたしには帰る場所がないような気持ちで生きている。
今ここにある自分が全てなんだと思って日々過ごしている。
だから毎日苦手な朝日を浴びながら布団から出る。
どんなに嫌なことがあっても通勤用の鞄を肩にかける。
終業のチャイムが鳴った時は安堵して暗闇の中帰途につけたことに乾杯する。
欲しいものはほとんどない。
住む家と、食べ物と、温かい布団があれば満たされる。
少しの心から気を許せる人がそばにいてくれればそれでいい。
昔わたしの部屋を見た友人が学校の用務員室より簡素だねと言った。
その日暮らしのように感じるらしい。
自分が所有しているものがどこにどれだけあるか把握しておきたい。
物がない空間がわたしに安心をくれる。
すぐどこへでも移動できるから。
絶対的な明日が不確かな明日になる日はすぐそこまでやってきているかもしれない。
ちょっと暗い文章になってしまったのは冬至へ向かっていく季節からだろうか。
もちろん楽しい瞬間もたくさんある。
さっきまでガハハと笑って宅配ピザを食べていたし。
ピザだけじゃなくてポテトと新作のゴボウフライのサイドメニューもニヤニヤしながら頼んだし。
サラダもいるなと思って一生懸命大量のキャベツを千切りにもした。
これから大好きな映画だって見る(もう10回は鑑賞したというのに)。
自ら命をたつということは相当な覚悟が必要だ。
「運命」という言葉だけで終わらせてしまうのにはあまりにも悲しすぎる。
落ち込み悔やむ周囲の人たちがたくさんいるのだから当然肯定はできない。
だけれどももしかしたらやっぱりそれは「運命」だったのかもしれないと感じる時がある。
「生」と「死」は対極にあるのか、横並びにあるのか、そもそも比べる対象ではないのか。
その答えはまだわたしの中では出ていない。
いつも楽しみにしている一ファンです。
陰と陽は人が誰しも持ってるのだと当たり前なことを実感しました。不器用さ、陰の部分、それを受け入れて生きているからこそ書ける人の文章だと思います。
終盤で「食」が出てきてぐっと「生」を感じました。
あなたの文章にとても励まされます。
これからも月初めに楽しみにアクセスしますね。
かささぎさん、素適なコメントありがとうございます🔶
そんな風に感じてくださりとても嬉しいです。不器用ながら生きていくのはとてもエネルギーがいるような気がします。これからももしよければコメントください。励みになります。
かささぎさん、素適なコメントありがとうございます。そんな風に感じてくれて、楽しみにしてくれていてとても嬉しいです。
生きるのはエネルギーがいるなぁと年を重ねるにつれて思います。負担でなければ励みになるのでまたコメントもらえると幸いです。