この
世の
闇のなかで
手を
握っていた
この
世の
闇のなかで
女のヒトの手を握っていた
震える手を握っていた
懐かしい匂いに鼻をうずめていた
懐かしい
懐かしい
懐かしい
と
わたし思った
懐かしい匂いを嗅いでいた
懐かしい匂いを嗅いでいた
もう死にたいと女のヒトはいった
もう死んでるんだと
わたし
思った
女のヒトも
わたしも
この世に生まれてしまったから
この世に生まれてしまったから
もう死んでるんだとわたし思った
もう死んでるんだとわたし思った
この
世の
あちらとこちらで
闇取引は
あり
この
世の
かたすみの闇の
なかに
星を
見ました
いくつも星を見ました
いくつも星を見ました
懐かしい
と
思いました
わたし懐かしいと思いました
わたしいくつも星がひかっていました
わたしいくつも星がひかっていました
※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。