「夢は第二の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」第100回

 

佐々木 眞

 
 

 

2022年10月

みんなでハイキングに行きました。野道をどんどん歩いて行くと、それはやがて山道に代わり、山道をどんどん進んで行くと、大きな滝がありました。滝の下には大きな亀の親子が泳いでいたので、大きな網で右から掬って左に伏せると、そこは大きな屋敷の大広間で、畳の上を親子亀がノコノコ歩いているのでした。10/1

屋敷の奥から主人が出てきて、「おいおい、か弱い動物を苛める奴は、俺が許さん!」と怒りだしたので、みんなびっくり仰天して、元来た道をいっさんに走って、逃げかえったのでした。10/2

偉いサンたちと、さる重要な案件について打ち合わせをしていたその男は、総務課の女性のミスで、なぜか自分にだけお茶が配られなかったので、ドタマに来て、その電通ビルを爆破してしまいました。10/3

シナラという名の煙草売りは、あありにも美貌であったために、出逢う全ての男たちの関心を惹きつけ、とうとう某国の皇太子に見染められて、玉の輿に乗り、大過なく長寿を全うしたので、つい先ごろ、盛大に国葬が執り行われたそうだ。10/4

ド田舎の不毛の地に、30万人もの貧民を強制的に連行して、巨大な集合住宅を建てさせた揚句、彼らを闇に葬ったのは、どこのどいつだ?10/5

久し振りに文化出版局のヒサダさんに会ってから近所の定食屋へ行ったら、「ササキさーーん」と大声で呼ぶ人がいたので、誰かと思ったら広告のムラカワさんだったので、「病気はもう治ったんですか?」と訊ねると、「すっかり元気になってこの通りです」というので安心した。10/6

韻文は散文より強し。私が原文を改定した条文は、非常によく出来ていたのだが、それをコピペする途中で霊感に襲われて、そのエスプリをワードに書き始めたために、オリジナル原稿は永久に失われてしまった。10/7

夜遅く玄関の鈴が鳴ったので、扉を開けると道端に杖をついた僧侶姿のフマ君が、からし色のコートを羽織って立っているので、「こんな時間にそこでなにをしてるんだ?」と訊ねたが、いつまでたっても黙っている。仕方なく500円玉を差し出すと、無言で托鉢袋の中に収めてから、一礼して立ち去った。10/8

先日の大台風で最悪最大の被害を出した、その地方の豪邸の大門の記憶を後世に伝えるべく、大地主の名前をとって「高倉門」と命名された。10/9

7時のニュースのうらなりアナウンサーを、画面越しに磁石で身動きできないように固定していたら、みなさまの公凶放送から、クレームが来たが、知らん顔して、そのままにしてある。10/10

おらっちが、学校の昼休みの時間に、ショスタコの「ワルツ」を大声で歌っていると、近所の小学生が近寄って来て、一緒になって歌ってくれました。10/11

「早くお得な老人ホームにツバをつけとかなくちゃ、後になって、臍を噛むことになるよ」と、ビートルズのリンゴ・スターが囁いた。10/12

死んで初めて、この世と、あの世の間には、境目がないことが、分かった。この世がすでにあの世だったように、あの世も、じつは、この世だったのである。10/13

「これからハーメルンの笛吹きがやって来て、この悪魔列島の人間をぜんぶ滅ぼすので、早く逃げろ!」と、健さんがこっそり教えてくれたので、逃げ出そうと思うのだが、どこへどう逃げたらいいのか、てんで分からないずら。10/14

軍部は、再建された帝国の最終戦争に備えて、富士山の中腹に、巨大な大砲を据え付けて、駿河湾からのミサイル攻撃に、対応することにしたそうだ。10/15

わいらあ、その奇妙な3人組の愛国中学生に対して、レクチャーするように頼まれたので、いろいろ考えた末に、LachとRackについて話すことに決めたんよ。10/16

会社は、私と妻が不当労働行為を働いたと言い懸りをつけて、巨大な弾劾ポスターを作って全国の目抜き通りに張り出したので、私たち夫婦は、この国のどこにも居られなくなっり、暗闇にまぎれて夜逃げしたのよ。10/17

「不安の正体」という映画をみながら、それをPCに録画しようと、いろいろやってみるのだが、これが、全然できないのよ。10/18

45度に腰の曲がったおばあさんが通りかかった。街の悪童が、「おばあちゃん、気分天転換に海老反りブリッジしてみないか」と盛んに呼びかけている。10/19

昼飯を喰おうと思って、この町角に立って、およそ2時間になるが、1台のバスも、電車も、やってこない。もしかすると、この町には、交通機関が無いのかも知れない。10/20

散歩していたら今井さんを見かけた。そういえばこないだ「久し振りにどこかで映画でもみませんか?」とメールを入れたっきり、音信不通になっていたことを思い出して、後を追ったが、今井さんはどうやら、あの割烹付きの木造列車に乗り込んでしまったようなのだ。10/21

払曉の始発電車に乗ろうと4,5人の日本人観光客が駅に向かって歩き始めたので、おらっちも後に続こうとしたのだが、急に尿意を催したのでトイレを探したのだが、そんなものはどこにもない。10/22

あたしが新宿伊勢丹で、オレンジ色のワンピースを買ってから、表通りに出ると、大勢の人が空を見上げている。どうかしたのかと思って、あたしも見上げると、大空の大半が、氷で覆い尽くされ、白い尖った塊が、次々に交差点に落下しているのだった。10/23

まだリーマンやってるおらっちだったが、他の社員も一緒のプロジェクトをやってる。夜になったので、誰かが勝手に出前を頼んでるようだが、後で伝票をおらっちの所に持ってきても、ぜったいに駄目だからな。10/24

このたび我が家がなんたらコンテストに優勝したというので、町内会長が盛大な祝賀会を開催したいと言うので、頼むからやめてくんろ」と頼んだにもかかわらず、それはおらっち欠席のまま公民館で決行され、ちらと覗いてみると会長以下全員が素っ裸で「カッポレ、カッポレ、アマチャデカッポレ」を踊りまくっていた。10/25

ナベさんが、我が社のキモスイと称する精髄を、全世界いに向けてアウトプットしようとするので、おらっちは「阿呆か、んなもん誰も見向きもせえへんで。やめてけつかれ」というたんやが、発射されてしもうたずら。10/26

「ウオリアーズを捜せ」みたいなPCゲームに、どうやら嵌ったらしい。ニンニン君が、ありとあらゆる交通機関に出没するので、おらっちは、モグラ叩きを持って、あちこち駆けずりまわっているのよ。10/27

おらっちがぶらぶら歩いていたら、向こうからやって来たあまり親しくも無い先輩が、「やあササキ君、久し振りだね。あのサテンで美味しいコーヒーでもどう?」と頻りに誘うので、「じゃあちょとだけ」というて入ったが、さして話すことも無い。10/28

しばらくするとその先輩は、「ちょっと思い出したことがあるので外に出て、すぐに帰って来るから、ここでそのまま待っててくれないか」というので、承知したが、いつまで待っても帰ってこない。10/28

30分近く待ったが、先輩はまだ戻ってこないので、金を払ってサテンを出ようとしたが、コーヒー1杯が1850円だと言うので驚いた。仕方なく手持ちの全財産の500円玉を渡して、「残金はもうすぐここに戻って来る男が払うから」というてその場を逃れたが、その後は知らんがな。10/28

文学的なことが苦手で理学的なことが得意だった昭和天皇とは、正反対のおらっちは、「だからこそ理系の大学を受験してみよ」と薦められ、会場にやってきたら、無数の仕出し寿司が並んでいた。10/29

(承前)どれでもよいから、この仕出し寿司を食べれば、その底から試験問題が浮かび出て来るというので、片っぱしからたいらげたが、すぐにお腹がいっぱいになっただけで、底にはなにも現れないので、楊枝をくわえたまま会場を後にしたのよ。10/29

珍しく宣伝課にやって来たオノエ会長が、「会社の業績が悪くて、取締役会が盛り上がらないので、何かいい知恵が無いか?」というので、とりあえず全員裸になってカッポレを踊ることになったようだ。10/30

おらっちは、出張土産に、女子中学生が喜びそうなものを、たくさん買って帰ったのだが、それをお昼の大食堂で配ろうとしたら、校長、教頭以下ダサイ男性教員が、おっかない顔でおらっちを睨みつけるので、えらく消耗したずら。10/30

綾部発の何鹿バスの最後部から振り返ると、バス会社の制服姿の少女が必死の形相でなにか叫びながら、おっかけて来る。ふと最前部の運転席を見ると、無人である。これは大変なことになった、と、おらっちは青ざめた。10/31

 

2022年11月

日本リーグの決戦で、苦杯をなめ絵続けるヤクルトの高津監督の采配振りに業を煮やして、落語の「頭山」の原っぱで野球をしていた草野球チ-ムの監督が、「おらっちが替わりにやるぞ」と申し出たのだが、却下されてしまった。11/1

町内会のファシストどもが、みな胴巻の下に「はらはら爆弾」を巻いているので、「オラオラ,おめえたち命を粗末にするな。早まったことぉするんじゃないぞォ」と警告したにもかかわらず、彼奴等は、次々にダイナマイトに蚊取り線香で点火して、自爆していった。11/2

うんかの如く押し寄せる岡っ引きをせせら笑いながら、怪盗ルビーは、「もしおいらが天下を盗ったら、おめえら全部が仕合せになる世の中にしてやれたんだがな」と、述懐したのよ。11/3

その名を小石川という男がいたが、なにもかもがうまくいかないので、思い切って小安川に変えてみたら、とたんに運が向いてきて、すべてがうまくいくようになったそうだ。11/4

10名の狙撃兵を率いたおらっちが、「ええか、敵の指揮官を狙うんだ」と声を枯らしていたら、突如、大音響とともに巨大爆弾が飛び込んできて、大爆発し、生き残ったのは、のびぶいっちゃんとひとはるちゃんだけだった。11/5

銀座電通の傍のサテンで、アセイさんが、「やっぱワンサカ娘だね。あれから全てが始まったんだね」と回顧しているので、「やっぱ偉かったのは、イマイさんでしたね」と言うと、深く頷いたので、「作詞もイマイさんでしょ?」と訊ねて顔を見ると、アセイさんの影も形も無かった。11/6

目を見開くと、アコーディオンが緑の蛇腹をサッとくねらせたので、パッと目を閉じると、何も見えなくなった。11/7

アソウの別荘と噂されているその隠れ家には、稀代の悪党共が蟠踞していて、一朝有事の際には、直ちに出撃して、どえらい凶事を為すのだった。11/8

神田小川町の交差点で、小学館のナカムラさんと、ぱったり出くわしたので、積もる四方山噺をしたのだが、おらっちは「宝籤は必ずしも当たらない」という噺をしたので、ナカムラさんは、呆れ顔だったな。11/9

おらっちが、いつもの砂洲で魚突きをしていたら、突然、町内会の連中が大勢現れて、大宴会が始まったので、ほうほうのていで、引きあげたのよ。11/10

クサモリカヨという名のインドネシア人が、ジャカルタに家族を残して来日していたが、マスコミに登場して、次第に有名な存在になったので、邦名を「草森嘉代」と名乗り、「あたいは、もうジャカルタには戻らないよ」と放言したそうだ。11/11

私はようやっと故郷に錦を飾ったつもりでいたのだが、当局に対する警戒を解かず、彼らが提供する食料や飲料水にはけっして口をつかなかった。彼らは折りあらば私を逮捕しようとしているのだ。11/12

「長い物には巻かれよ」というスローガンが、時代遅れになったというので、今度は「短いことは、いいことだ」という、昔聞いたことがあるような掛け言葉が一大トレンドになり、なんと半世紀ぶりに、ミニスカートが流行するようになったずら。11/13

戦は我々の村にまで及んできたが、この村に生まれ育ったおらっちは、このあたりの地形は隅々まで把握しているので、有利に戦うことができたのよ。11/14

我が家のすぐ隣に、新社会主義国の住民が引っ越してきたのだが、朝から晩まで働かずに、ゴロゴロごしながら飲み食いしているので、羨ましいような、心配なような、複雑な心境だ。11/15

おらっちは、その男のバーズカ砲で撃ち殺される寸前に、味方がそいつをバーズカ砲で撃ち殺してくれたので、危うく命を救われたのよ。11/16

終戦まぢかで明日講和が結ばれるというその前夜に、20人の味方が密かに虐殺されちまった。11/17

そのソープオペラのあらすじというのは、こうだった。1年生、2年生、3年生の友人たちが、国王の圧政に抗して武装蜂起したが、鉄の軍隊によって、あっという間に殲滅されちまった。11/18

江戸城急襲の下手人たちが公開処刑されるというので、広場に通じる道は、朝から車馬や駕籠や盥に乗った武士や町人たちで、犇めき合っていた。11/19

あと一歩で勝利を逃したチームの敗北の原因が、タカツ監督の大不振リリーフエース。マクガフ起用の大失敗にあることを熟知していたおらっちは、彼が取ろうとしたボールを握って離さず、とうとう9回まで無失点で完投して、貴重な逆転勝利に貢献したのだった。1/20

怖い怖いお化け屋敷から、ようやっと逃げ出してきたが、あれは、比叡山のお化け屋敷より本格的で、どこかバタ臭かった。11/21

セイさんが、フルカワちゃんと、横浜の山下の埠頭から大航海に出るのだが、なぜか胸騒ぎがするというので「そんなら止めなさいよ」と助言したが、その時には、もうバイカル号は桟橋を離れていた。11/22

私は、前世では魚だった。その頃は、あたりの魚たちを絞め殺して得意になていたのだが、人間になってからは、そーゆー事が出来なくなったので、いささか寂しいのである。11/22

専制君主のおらっちは、妙齢の処女をそれぞれ100万と170万で購入したが、何で70万の差をつけたのか、買い入れた2人をどうするつもりなのか、自分でも分かっていなかった。11/23

モザールの「フィガロの結婚」4幕の大詰めになったところで、決めの許しを乞うはずのアルマヴィーラ伯爵が何故か居なくなってしまった。伯爵夫人のロジーナが、怒り狂って泣き喚くので、おらっちは、指揮棒を放り出して、懸命に宥めているところ。11/23

とうとう内戦が始まったので、急いで郷里に帰省すると、割と近い所にいるタクちゃん一家がやってきたので、みんなで、紅白両派の戦いを、茶の間のテレビで見物しました。11/23

静岡県の戦争委員会では、かの村田投手の指導を受けて、成人男子の全員がマサカリで武装し、押し寄せる敵兵を、マサカリ殺法で斬り殺す訓練を施しているそうだ。11/24

東京でも内戦が始まったので、愛人と示し合わせて上野で落ちあって、逃亡しようと思っていたんだが、いざ会ってみると、昨日見た「火口のふたり」の残像に刺激されて、近くの安ホテルにしけこんで、1週間やりにやりまくったのであったあ。11/24

4時45分。久し振りに心臓が痛くなってきたので、「ああこいつは、いつもの狭心症の発作だな、1波、2波を含めて、5分もすれば痛みは無くなるはずだから、ニトロは飲まなくてもいいな。それにこれは夢なんだから」と安心していたら、本当の発作だったので、驚いた。11/25

えらくハイソの家族と、等々力渓谷にハイキングに来ていたんだが、夕方になり、ハイソの家付きのハイソ車と、その専用運転手と顔を合わせるのが厭なので、我が家だけお先に失礼したのよ。11/25

ムトウさんと娘さんが、我が家にやってきたのだが、2人ともそっくりな顔つきで、顔中そばかすだらけなので、驚いた。11/25

アメリカでの暮らしに少し慣れた頃、突然、事件に巻き込まれた。親しくなった隣の部屋の住人、穏健な共和党の支持者だったが、ライフルで武装して、「今からトランプを殺しに行くんだが、一緒に行かないか?」というのである。11/25

キガイユのジムの女、スムケイの女は、カンリュウのあらくれ男どもの下劣な視線を浴びせ掛けられながらも、プライドを捨てず、毅然とした態度で激しく見返していた。11/26

小さな町の小さな文化会館を出ようとしたら、女もついてくる。それからどんどん歩きに歩くと大阪駅に着いたので、彼女をハグしてからチュウしたんやが、あの限りなくやわらかな唇の感傷は、いまだに忘れられない。11/26

ユニクロの下着デレクター、リター・ネルソン氏の知遇を得たので、その担当分野の新しい企画を提案することになり、ホームウェア仕様の下着とか、ポップなイラストを施した下着などのアイデアを考えているのよ。11/27

若き日のおらっちなので、6日間セクスしたのだが、安息日の今日も、7日間連続のセクスをしたのでした。11/28

玩具会社に勤務する私は、人事&管理体制上でさまざまな問題が起こるのは承知のうえで、部下たちを作家主義のクリエーターに養成しようと決意したのであったあ。11/28

一日中敵のミサイル攻撃に堪えるしかない鬱屈した日々の中で、我々の唯一の気晴らしは、敵兵の遺体を犬にたっぷり喰わせてやることだけだった。11/29

道楽息子の私は、昔懐かしいクラシック音楽専門のレコードを開店し、誰一人来ない店で、朝から晩までSPレコードを聴いているうちに、親父から貰った遺産をことごとく失ってしまった。11/30

 

2022年12月

保守的だが、都会的に洗練された英国調の服が、今の世の中で通用するのかしらん、と危ぶんでいたのだが、案に相違して、どんぴしゃりだったずら。12/1

おらっちは、初めて将棋の名人戦に出たのだが、さそうと思って手に取った駒たちが、「あ、それは駄目、駄目。もっといい手があるずら「」と口々に意見をいうので、結局1手もさせずに負けてしまったよ。12/2

火事場泥棒は江戸の名物だが、おらっちは、火事場のどさくさまぎれに金持ち男を漁っている火事場商売女のお七を捜しに、天和の本郷までやって来たのよ。12/3

中学生のおらっちは、ド田舎で東京の美人大学生に取り囲まれて、彼女たちを弄んでいたつもりだったが、あとでよく考えてみると、その正反対だったことが分かった。12/4

核戦争が迫って来たので、この半島の南端部には、セレブの大富豪たちが緊急避難して、核シェルターに籠っていたが、まだ少年のおらっちは、そんなこととは知らずに、毎日美少女と遊び暮らしていたのら。12/5

敗戦前夜に疎開するまで、父が勤務していた材木会社の隣に、後楽園球場があって、時々試合を見物していたというので、半世紀ぶりに上京した父と、巨人戦を見に行ったのだが、大混雑の水道橋駅で、はぐれてしまったのだが、その晩、王は、4連続ホーマーをかっ飛ばしたのだった。12/6

ムトウさんとその娘さんが、我が家にやってきたのだが、2人ともそっくりな顔つきで、顔中そばかすだらけなので、驚いた。12/7

ガリマール版で「海辺の墓地」を読んでいたが、さっぱり面白くないので抛り出して、ポ-ル・ヴァレリー3番地別館に駆け付けて、500フランもする高級娼婦を買ったが、どうあがいても、アレがナニしないので、ファチゲ、ファチゲと叫んで、飛び出したのよ。12/8

おらっち、あんまり海がきれいなので、船から、えいやっと飛びこんだら、あっという間に、潮にどんどん流されて、船は、たちまち見えなくなってしまったずら。12/9

巴里に在る「青少年のための性交研究会」に日参したのは、そのテーマよりも、担当の2人の美人チーチャーに、熱烈に惚れたからだった。12/10

前立腺が、バッチリ肥大していることを、うまく詠いこめたので、おらっちは、国の高級短歌学院への入学が、許されたのよ。12/11

その時、突然わが軍の左側の左隅に、巨大な鞴が突きだされ、そこから、猛烈な炎が噴き出したので、猫も杓子も、おらっちも、算を乱して逃げ出したのよ。12/12

最後の決戦が迫って来たので、義勇兵のおらっちは、アラブの名前のアブ・ハッサンをやめ、本名である、アブタハチロウの名を鉢巻きに墨で書いて、額にきりりと締めた。12/13

いよいよ敵の総攻撃が始まる。戦死してしまってからでは遅すぎるので、今のうちに我が宗派のための献金をしてもらおう、と献金袋を廻したが、誰も一文も入れなかった。12/14

おらっち、あらゆる人と組織を裏切り、裏切り、げんざいの地位を、やっとこさっとこ手に入れたもんやから、何があっても、絶対に譲り渡す訳にはいかへんのよ。12/15

その美術学校の入学試験は、千人に一人という狭き門なのに、志望者が殺到し、受験手続の書類を取るだけでも大変で、早朝から夕方まで並ばないと入手できず、5日間連続の入試では、超難問が目白押しに出題されるので、3日目で諦める連中も多かった。12/16

沖縄の著名なガビ詩人の意味不明の最新作について、仲間内で語り合っていたのだが、客人客説で結論が出ないまま散会してから、上野駅ホームで開催された、「夜を楽しく」というパジャナマーテイに出てから、寂れた一軒家で、セイサンたちと、ガビ詩を朗読したのよ。12/17

久しぶりにマージャンをやったのだが、ふとスーアンコーをやってみようと思いたち、牌を3個づつ集めはじめたのだが、オーラスでドラだったパイパンを引き当て、ぬあんと、半世紀ぶりの役満が、完成したのだった。12/18

急に眼が見えなくなったので、大小の只木をこさんの月見との云々 12/19

人口100名の小さな村には、経済の99%を支配して独裁制を強いている僭王ノアがいて、村人たちは、彼の顔色をうかがいながら、帝国の臣民のやうに隷属していた。12/20

前回の詩形の時は、私も、彼らと同じ殺人を犯したから、同罪だ。「一緒に処刑してくれ!」と叫ぶ連中が居て、その願いどおりに処刑されたのだが、今回は、そういう申し出は無かった。12/21

駐モスクワウクライナ大使館大使夫人リュドミラは、ロシアが、同じ名前の偽物を、あちこちで使い回しはじめたので、頭に来て、夫と共にキーウへ引き上げたとさ。12/22

さっき、ふと頭のどこかに浮かんだ不思議な1行、それは、それだけが後世に残る記念碑的な1行のような気がしたおらっちは、それを生かした、イカス詩を作りたいと思って、寝る間も惜しんで、次の1行への移行を試みるのだが、さっぱり上手くいかず、結局チョコレートの広告になってしもうたのよ。12/23

おらっちが、コペンハーゲンでで買い付けた、ダリの1点物の最高級スピーカーを譲って欲しいと、いうので、ミラノからやって来たムーティに会ったら、これがとんだ偽物だったので、本物なら譲ってやろう、と思っていたおらっちも、がっくりだった。12/24

早くヴィクター陣営に移動しようと思ってはいるのだが、ソニー陣営から離れられないのは、何故だろう?12/25

おらっちが、山から戻ってきて、布団を干していたカト君を、ワッと驚かせると、カト君は、腰を抜かしてしまったずら。12/26

2人には、それぞれ1人ずつ子供がいるのだが、子供たちは、自分の親がどっちなのか、てんで知らずにいるようだ。12/27

祖父の小太郎のために、必死で山つつじの木を切り取って、斜面を這いあがったのだが、握りしめていたはずのそれは、途中で失われていたのだ。12/28

王選手が4連続ホーマーをかっ飛ばした日に、父と私は水道橋駅ではぐれてしまって、とうとう見ることができなかった。一生悔やまれてならない悔恨の夜じゃった。12/29

映画「在りし日の歌」は、毎年8月15日に会うことにしていた、高校の野球監督のトミタ先生の思い出から始まって、主人公のシャコンが死んでいく太平洋の真ん中で、即興のア・カペラで、地球との決別の歌をうたうラストシーンで終わる。12/30

おらっちは、うんと早起きして、キーウへ荷物を運ばなければならないのだが、これから寝るのが面倒くさいので、いざとなれば、立ったまま眠ればいいと思い決めて、出発することにした。12/31

 

 

 

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