おと

 

藤生 すゆ葉

 
 

                   、
                       、
                       、
                 、
   ー
           。

そこには音を奏でる方がいた
肉体を使って音を創り出してもいた

その音は
黄色と黄緑と水色、透明

霧のような、粒のようなそれらが
ふわっと風のように流れていた 

音を聞くと色がみえる

そう思った

学生の頃、イヤフォンを通して
音を聞いていた

頭のなかに映像が流れ
同時に目で見える現実の映像もあった

頭の映像を止めたくて
音を聞くのをやめたことを思い出した

そう、音は色であり、映像をも創り出す

昔知っていたことを思い出す

音、色、映像

全てをつなげる肉体
人間という器は複雑だ

知らない世界に連れ出してくれる音

魂が弾ける光も
 愛おしい、おと

生命の

 

 
  ・
 

 

-解説-

ある空間での“音”によって、人間としての肉体感覚や過去の経験を思い出した。
音は色や映像をつなげ、自身が人間であると再確認させてくれる。

誕生しては流れて消えていく音、発する側や受ける側によっても色を変える音。
日常の空間でも音は彩りを添え、新しい世界に連れ出してくれる。
それは、生命の誕生とも重なる。
産声、という愛おしい音も地球という新しい世界に連れ出してくれる音。
誕生しては消えゆく愛おしい生命、音は生命がはじまる、こえである。

 

 

 

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