道 ケージ
こわさなければならなかった、こわし、またこわす、
救いはこうしなければ得られなかった
大理石の中に現れるあらわな顔を破壊する、
どんなかたち どんな美も打つ
鳥が引き裂れて砂になってしまえばいいのに、とお前はいった
(イヴ・ボンヌフォワ詩集)
たそがれ時に
人を切る
蠅がたかるに任せて
何かを作りまたこわす
行くべきではなかった
輪郭をたどるよう
グールドを聞く
その粒は乳輪を思わせた
「トロントの管理人が
ゴミ出しをする
早口の女が栞を抜いた
手袋の片手で挨拶」(NHKラジオ)
雪崩の予兆の小石
小気味良い回転
音符のようだ
大丈夫と見上げる
(カカボラジでのこと)
壊された破片の私は
髭剃りに銭湯へ
高温に涼しむ
酒を抜く
萎びたふぐりばかり
狼のような顔の人が
しきりに顔を拭いている
桶が鳴る
タオルが飛ぶ
ここに用がある
用が済む
用済みとなる
もういらないから帰ることになる
できていたのに
できていなかった
完全さを求めて
最も不完全なものになっていた